いつもより高く

嶋 瞳(高2 岩手県 )





たん たん たん……たん とん。
外はすっかり暗くなって
窓が私を映している

降車ボタンは光を点さず終点で止まった
家では開かれない教科書が詰められたカバン

まばらに空いている席
揺れに身を任せていればあっという間で

こんなんじゃ空も飛べないね……。
錘をつけられた身体
暗いのに星の一つも見えない空

久しぶりの晴れですね。
オレンジ色に染まったあなたはたまに見かけましたが

遠くまで透き通った青
さわやかな風
夏はもうすぐそこに
いるんだなあ

早く、あの青色に近づきたい
いつもより ほんの、ほんの 少しだけ 
高く飛べていたらいいなあ。

たん たたん たん とんっ。

error: Content is protected !!