文芸ライティングコンテスト 2025 High School Lines

2025年 11月1日
名古屋芸術大学 文芸ライティングコースは、高校生だけが応募できる文芸コンテスト「High School Lines」の審査結果を発表いたします。

応募者数 110名

小説 18作品
詩 6作品
短歌 101作品
俳句 101作品

全作品数 226

の、ご応募をいただきました。ありがとうございます。

大賞
「断片に棲む」(小説部門)佐々木(高3 新潟県)

小説部門
優秀賞なし

詩部門 優秀賞
「いつもより高く」嶋 瞳(高2 岩手県 )

「右目のカラコン」吉川 理緒那(高2 千葉県)

短歌部門 優秀賞
「なめとんのか生きる意味価値ないことの証明のため今日も生きてる」加藤はな

「ローファーの泥を剥がして春を知るまた青空に少し近づく」泡生爽(高3 千葉県)

俳句部門 優秀賞
「枝豆や父の背中にパグの柄」酒井真結子(高2 埼玉県)

「秋澄めり涙は落つる前に拭く」海越ももか(高2 岡山県)

大賞
「断片に潜む」佐々木(高3 新潟県)

審査員評:
 先輩と主人公は、脈絡なく出会い、帰宅を一緒にすることが続く。その最中に断片的で思弁的な会話をする、というだけの小説だが、そのやりとりが妙に心に残る。恋の記憶というより、その手前の断片に棲む大切そうで真実のような何か。それを忘れられない主人公の気持ちに、気持ちよく寄り添えた。
(中村 航 先生・小説家)

詩 部門 優秀賞
「いつもより高く」嶋 瞳(高2 岩手県)

審査員評:
「たん たん たん……たん とん。」を誘う風景の流れが豊かであり、
ひとつずつ確認している書かれていて、それだけで気持ちが伝わってくる。
見せ場以外でも、語感が意識されているのが良い。
(村田 仁 先生・詩人)

詩 部門 優秀賞
「右目のカラコン」吉川 理緒那(高2 千葉県)

審査員評:
恋と分析が行き交い、言及の語尾がめくるめく変わり、彩りが楽しい。詩とは世界に話しかけることなのだと見せつけてくれる。
(村田 仁 先生・詩人)

短歌 部門 優秀賞
「なめとんのか生きる意味価値ないことの証明のため今日も生きてる」加藤はな

「ローファーの泥を剥がして春を知るまた青空に少し近づく」泡生爽(高3 千葉県)

審査員評:
選考にあたって短歌の基本である57577を丁寧に操っているかどうかを中心に選びました。その中で詠まれているテーマと57577の呼吸がうまく噛み合っているものがより魅力的に感じました。ネガティブなテーマも短歌という形式に納めることで昇華されているものは高く評価したいです。また、高校生のこの瞬間を具体的に鋭く切り取っているものも、ぜひ大切にして欲しく選ばせていただきました。
(野口あや子 先生・歌人)

俳句 部門 優秀賞
「枝豆や父の背中にパグの柄」酒井真結子(高2 埼玉県)

審査員評:
枝豆をつまみながらの晩酌だろうか。父の大きな背中にある、パグのとぼけたような表情のギャップが可愛い。着ているものから父の人柄が見えるだけでなく、〈父の背中〉という言葉の響きが象徴するある種の威厳を、パグ柄のユーモアが優しく裏切ってくれる楽しさも重なる。そんな父の背中を見て育ってきた子が、パグ柄の背中の父を眺めているおかしみ。〈枝豆〉との取り合わせも見事。
(後藤麻衣子 先生・俳人)

俳句 部門 優秀賞
「秋澄めり涙は落つる前に拭く」海越ももか(高2 岡山県)

審査員評:
涙がこみあげる。ぽろりと落ちてしまう前に、その溢れてしまいそうな心を隠すように拭く。〈涙は〉の助詞にかすかな自制の響き、冷静さも滲む。季語〈秋澄む〉から感じられる、世界のすべてがくっきり鮮やかに見える感覚と、今涙によって滲んでいる世界の対比、その響き合いにより、感情の輪郭を静かに浮かび上がらせる作品。
(後藤麻衣子 先生・俳人)

小説 部門 佳作
「白い消しゴム」石黒小百合
(高2 東京都)


「相思花へ誓うなら」夜狐雨鏡
(高2 群馬県)


「浜辺のペリドット」茉莉
(高3 福島県)


「こばんざめ」宮﨑大輔
(高2 和歌山県)

詩 部門 佳作
「朝な夕なに」こずえ
(高2 三重県)

短歌 部門 佳作

「飛行機の目だけでっかく輝いて一番星をちょうど隠した」
来田千斗(高2 千葉県)

「夏の日のサイクリング終わり夕。河川敷に風、緑輝く。」
来田千斗(高2 千葉県)

「まちがって虹にモザイクかけちゃった ごきぶりもげろも全裸なのに!」
峯田舞音(高3 東京都)

「煌めきをはなつ瞳に射抜かれて陸ではじめて息ができない」
谷山(高3 愛知県)

「だんだんと離れる背中追いかけて鼻緒のかたさも気付かないふり」
谷山(高3 愛知県)

「人皮をまとう真理になりたい肉がちぎれると痛いのはなぜ」
加藤はな

「おそろいは筆箱にしよう 別れても変えやすいから捨てやすいから」
餅入桜(高3 北海道)

「残照に スマホのカメラと 目のレンズ 染められた君に 染められる僕」
相澤亮佑(高1 宮城県)

「モノクロム呑んだ街灯交差点コンビニアイス買いに行こっか」
玉響すぐり(高1 栃木県)

「てのひらの全体が脈打つことをジンベイザメの後に気づいた」
武藤理央(高1 群馬県)

「僕だけが順手で逆上がりをするから飛行機雲のしっぽが消える」
武藤理央(高1 群馬県)

「3番線 別れを告げて 2分半 まだ振り返れない 1番ホーム」
こずえ(高2 三重県)

「スフレチーズケーキは崩れ 最近はぜんぶだめだと笑ってる人」
泡生爽(高3 千葉県)

「「落ちる葉」と「かさつくきみのほっぺた」と「澄んだ空」とを秋の季語とす」
森藤真帆(高3 静岡県)

「眺めてる 海に映った 君の顔 水は穏やか 日は沈んでく」
本間孝男(高1 埼玉県)

「巻貝の螺旋をなぞり白砂の海の深さを知る指の腹」
嶋 瞳(高2 岩手県 )

「ヤドカリが住んでいた家カラカラと硝子の粒の忘れ物あり」
嶋 瞳(高2 岩手県 )

「この夢がもし正夢であるならば私はすぐに死ななきゃいけない」
冨田 輝(高1 愛知県 )

「もう投げる花瓶がなくなったといって次は私を砕くのかママ」
冨田 輝(高1 愛知県 )

「受験まで 言葉に込めて 背を押して 君の隣で 恋を隠して」
富成優那(高3 岐阜県)


俳句 部門 佳作

「麦茶飲むオチを知つてる武勇伝」
宮内菜摘(高2 岐阜県)

「鶏頭をキュビズムの一部と思ふ」
冨田 輝(高1 愛知県 )

「8月の孤独際立つ彩度が嫌い」
第3たぬま夫人(高1 愛知県 )

「稲妻や教科書に手を切つてゐて」
武藤理央(高1 群馬県)

「オーブンに黄金めきたる林檎かな」
鈴木海南(高1 埼玉県)

「アロハシャツきびきび動く墓参かな」
帯谷到子(高2 宮崎県)

「空席のプリント揃へ百合香る」
澤西晩柑(高2 京都府)

「真夏日のオーブンレンジ予熱中」
松本奈々(高2 愛媛県)

「サイダーが泡を失う校舎裏」
峯田舞音(高3 東京都)

「蝉しぐれ駅までつづく昼の道」
渡邊大夢(兵庫県)

「壁沿ひに尾をきりと立て猫の恋」
来田千斗(高2 千葉県)

「大晦日みんなで一緒に高く跳ぶ」
中山 豪(兵庫県)

「蟻の列に導かれたる帰宅かな」
黒木萌那(高1 埼玉県)

「夏蓬薬指だけ伸びた爪」
黒田紗矢(高1 埼玉県)


下記、2025年の、コンテスト募集内容等、アーカイブです。

名古屋芸術大学 文芸ライティングコースは、高校生だけが応募できる文芸コンテスト「High School Lines」を開催します。

日常で感じたこと、心に描いた空想、誰かへの思いなど、あなたにしか書けないことを作品にしてください。
小説、詩、短歌、俳句の4部門で公募します。審査結果に関わらず、講評・コメントをお送りします。
すばらしい作品との出会いを楽しみにしています。

【募集期間】
2025年8月15日(金)〜9月1日(月)18:00 まで
WEB応募のみ
結果発表: 2025年10月上旬予定
結果発表: 2025年11月1日(土)webサイトにて
※ 当初予定していた芸術祭での授賞式は中止となりました。楽しみにしていた皆様には申し訳ありません。受賞されたみなさんには、追って賞状などを、ご郵送いたします。

【応募資格】
日本国内の高等学校、高等専門学校、インターナショナルスクール、その他これらに準ずる学校に在籍する生徒。国籍は問いませんが、応募作品は日本語とします。

【部門】
全部門、テーマ規定なし。
◼️小説部門: 短編小説(1作のみ)
◼️詩部門: 自由形式(1編のみ)
◼️短歌部門: 自由形式(1〜3首)
◼️俳句部門: 季語自由、自由形式(1〜3句)

 【賞】
大賞: 全部門より1名(賞状、図書カード1万円分、記念品)
優秀賞: 各部門 1〜2名(賞状、図書カード5千円分、記念品)
佳作:各部門 若干名(賞状、記念品) 受賞作品は大学のWEBサイトや発行物に掲載します。

【審査員】
名古屋芸術大学 文芸ライティングコース講師

◼️小説部門:
中村 航
(小説家)

◼️詩部門:
村田 仁
(詩人)

◼️短歌部門:
野口 あや子
(歌人)

◼️俳句部門:
後藤 麻衣子
(俳人)

応募要項

・応募には、氏名(ペンネーム可)、メールアドレス、高校名の記入が必要になります。

【応募形式】
デジタルデータのみ(Wordなどのテキストファイル類、PDFなど)。
A4サイズ、縦書き。フォント10.5ポイント。

◼️小説部門: 40字×30行、10ページまで。タイトル必須。タイトルは文字数に含みません。
◼️詩部門: 40字×30行、3ページまで。タイトル必須。タイトルも文字数に含みます。
◼️短歌部門: 3首まで。
◼️俳句部門: 3句まで。

【応募手順】
募集期間中に公開される、応募フォームに必要事項を入力します。
氏名(ペンネーム可)、メールアドレス、高校名の記入が必要になります。
作品ファイルをアップロードし、送信を押すと応募完了です。確認のメールが届きます。応募点数は各部門1人1回まで、複数の部門への応募も可能です。

【規約】
・応募作品は、応募者本人が創作した未発表のオリジナル作品に限ります。他コンテスト等との二重投稿は認められません。
・AI(人工知能)によって自動生成された文章を主要な部分として使用した作品は審査対象外とします。
・応募作品の著作権は応募者に帰属します。ただし、受賞作品については、主催者が、本コンテストの広報・記録を目的として、受賞作品の全部または一部を抜粋する権利を無償で許諾するものとします。
・受賞作品を作品集として出版・販売する場合や、上記目的以外で利用する場合は、応募者と協議の上、条件を定めます。
・応募に際して提供された個人情報は、第三者に開示・提供することはありません。
・受賞作品が既発表の作品と同一または類似している場合、または第三者の権利を侵害している、応募規約違反と判断された場合は、発表後でも受賞を取り消すことがあります。応募作品に関するトラブルが生じた際は、応募者ご自身でご対応ください。
・審査に関するお問い合わせには一切応じられません。
・応募者は、応募の時点で本規約に同意したものとみなします。

主催:
名古屋芸術大学 芸術学部デザイン領域 文芸・ライティングコース


たくさんのご応募、
ありがとうございました。

たくさんのご応募を、ありがとうございました。
結果発表: 2025年10月〜11月(順次、各自ご連絡を行なっております)
2025年11月1日(土)オンライン上にて
(当初予定していた、芸術祭のなかでの授賞式は行われないことになりました。楽しみにされていた方には、申し訳ありません。)

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